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あとりえ絵日記

出会い

某カルチャースクールに通っている方がロビーに展示されている広吉先生の絵を見て、譲ってほしいと問い合わせがありました。
なんでもその絵に描かれている家が昔の伯父さんの家だったそうで、子ども時代の数々の思い出と相まってなつかしく、高齢となって現在病気療養中の伯父さんに見せてあげたいとの思いから連絡をくれたのでした。

その絵は30年前に描いたもので、ギルガメシュ叙事詩のシリーズなどで知られる広吉先生のいつもの画風とはかなり変わった風景スケッチのシリーズです。
当時オーストリア国立ウィーン美術アカデミーの留学から戻り、行き場のない気持ちを紛らわすように毎日毎日横浜の下町を4号のキャンバスを抱えスケッチしていました。
当時もリアルタイムで様々な出会いがありましたが・・・

100枚ほど描いたその中の一枚です。

出会い_d0322102_12561061.jpg

洲之内徹氏が芸術新潮の「きまぐれ美術館」で取り上げてくれて反響も大きかったものです。

その方からのお手紙です。

「・・・・・・・(中略)さて、この度は偶然に偶然が重なり、先生の作品とめぐり合うことができました事、本当に感謝しております。

あの店は伯父が営んでおりました店舗兼住宅でした。

近所に祖母も暮らしておりましたので、立ち退きになる前までは毎年、盆や正月に家族であいさつに出掛けた私たちにとってもなつかしい場所です。

あのガラス戸の向こう側に足踏みミシンがあり、伯父が大きな作業台で背広を縫う姿と料理上手な叔母とやさしい祖母が出迎えてくれた様子が今でも目に浮かびます。
その後、叔母も祖母も亡くなり、いとこたちも巣立ち、高齢となった伯父は病気療養中です。
(中略)
あの絵をなるべく早く手渡し、喜んでもらいたいと考えております。
(後略)・・・・」

絵を描いたり、教えたり、個展をしたり・・・と絵にかかわる生活をしている中で、絵を通して出会った人たちとの数々のドラマは感動的です。

一枚の絵に込められた描き手の思い、見る側の思い、どちらも真剣です。

絵とともにあって「良かったなぁ」と思える瞬間です。



by yamateatorie | 2013-10-21 13:28 | せんせい

横浜の中山手ある絵画教室YAMATE美術セミナーの日々です。
by mせんせい
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